Ubuntuを3ヶ月間使ってみて……

今年の2月初めにUbuntu 10.10を導入したので、だいたい3ヶ月が経過した。そのうえでの感想というか雑感。主にUbuntu使ってよかったとか悪かったとか、そういう話。

Webブラウザ

だいたいChromiumを9割、Firefoxを1割の割合で使い分けている。まあ、Firefoxを使うのは、Firefoxのアドオンを使いたいときとFirefoxで正しく表示されるかを確認する程度しかないので、ほとんどChromiumだ。ChromiumGoogle Chromeのベータ版的な位置づけということになっているが、それが特に問題になるようなことは今のところない。

メール

Ubuntu 10.10には標準でEvolutionというメーラーがインストールされているが、Thunderbirdをインストールして使っている。理由はEvolutionがIMAPに対応していないことと、Windowsでも使ってきたThunderbirdに慣れているから。Windows版に比べて〜、とかそういうことは特にない。

テキストエディタ

一番悩んだのが、どのテキストエディタを使えばいいのか、ということだった。デフォルトで使用可能になっているのは、gedit・vi/vim・nanoの3種類で、一般的に使われることが多いのがemacs(GNU emacs23)やgvimなど。Kateというのもあるみたいだけど、試してない。

gedit
GUIベースのテキストエディタで、Windowsのメモ帳のような位置づけ。ただし、メモ帳に比べればはるかに高機能で、プラグインによる機能追加も可能
vi/vim
CUIベースで動作するテキストエディタで、UNIX系OSなら普通はインストールされている。独自のキーバインドを覚える必要がある。設定ファイルでカスタマイズ可能。GUIベースで動作するのがgvim
nano
CUIベースで動作するテキストエディタである点はvi/vimと同じだけど、独特のキーバインドがないので、場合によってはvi/vimより使いやすい。ただ、コンパイル時に指定した文字コードでしかファイルを読み書きできない点で他のエディタより大きく劣る。使い込む価値はないとみている
emacs (GNU emacs 23)
CUI/GUIどちらでも動作する高機能なテキストエディタ。vi/vimとは違うキーバインドを覚える必要がある。elispによる機能追加や設定項目やモードが豊富で、使い込む価値が大いにある


最近はemacsを(使わなくても)とりあえず立ち上げておくことが多くなったし、なんだかんだメインで使っているのはemacsになりつつある。
その他のエディタについても、用途に応じて時々使う感じ。ターミナルから設定ファイルをちょっといじりたいときには、vi/vimやnanoで。マウスでの操作中に保存してあるファイルのテキストをコピペしたくなったときはgeditで、という感じ。
Linux/UNIXの文化に触れてみたかったから、僕は習得コストがかかるemacsに好意的でいられる。そうじゃない人がWindowsに代わるデスクトップOSとしてUbuntuを選択したとしても、geditで不満がでることはあまりないと思う。ただ、geditはUTF-8以外でのファイル読み書きが少し弱い難点がある。

動画再生


デフォルトだとtotemというプレイヤーがインストールされている。僕はそれとmplayer(gnome-mplayer)というソフトを追加して、使い分けている。totemで再生できなかった動画が、mplayerだと再生できることがあったりするため。totemは同梱されているプラグインによってYoutube動画を再生できるようだが、実際はエラーがでて再生できない。ちなみに、この問題はUbuntu 11.04のtotemでは解決されていた。Youtube側の仕様変更が原因だと思う。

音楽ファイルの管理

iTunes的なソフトとして、Rhythmboxが標準で利用可能。同梱のプラグインによってiPodも使用可能。

オフィススイート

OpenOffice.orgが標準で使えるようになっていて、文書作成やスプレッドシートでの作業はこれで事足りている。OpenOffice.orgは罫線がやや弱い、線の太さが大味だったり破線が使えなかったり……、な問題があると思っていたが、破線は普通に使える。いつのまに解決したのかな。英語圏のドキュメントだと罫線はあまり重要ではない、と聞いたことがある。

2chブラウザ

JDを使用している。RemixCDからインストールすると日本語環境セットアップ・ヘルパが使えるようになっていて、そこからインストールすることもできるし、Ubuntuソフトウェア・センターからでもOK。

メッセンジャー/Skype

メッセンジャーソフトとして、Empathyが使用可能。Windows LiveやYahoo・Googleのようなよく知られたメッセンジャーサービスはだいたい対応している。Skypeはベータ版を利用することが可能。WindowsSkypeに慣れているとインタフェースが少し違ってて、時々戸惑うが、問題になることはあまりない。

CD/DVD書き込み

Braseroが標準で利用可能。データディスクを作るかISOイメージでCD/DVDを作成するくらいしかしたことないが、シンプルで使いやすいと思う。DVDビデオを作ることもできるようだが、エンコーディングにすごく時間かかりそうだったので、中断した。

画像編集

GIMPをインストールして使っている。フォトレタッチや画像編集なら有力な選択肢。といっても、ちょっと画像サイズを変えたりトリミングする程度にしか使わないので、GIMPと別にもう少しシンプルなソフトを用意できればと思っている。

ランチャー

ランチャーではないかもだけど、キー・ジェスチャーでソフト起動できるGNOME Doを使っている。シンプルで良い。

日本語入力

標準だとAnthyを使うようになっているが、MS-IME以上にバカで、かつ地名のような固有名詞の網羅度も少し低い気がする。日本語環境セットアップ・ヘルパから、Google日本語入力オープンソース実装であるmozcを使うことができるので、こっちに切り替えている。安定性の問題が指摘されているのを時々見かけるが、今のところ問題なし。

セキュリティ

標準でufwというファイアウォールがあるので、有効にしている(初期状態は無効)。ターミナルから操作する必要があるが、gufwをインストールするとGUIで操作することができるようになる。

Windows向けアプリケーションは使えない(使わない)心づもりでいる

Wineを使うと、Windows向けソフトウェアをインストールして実行することができるようになっている。ただ、いくつか試してみた感じだと、Windowsと同様遜色なく動くソフトはあまりなかった印象。試しに使ってみたり動作を確認したい程度ならいいかもしれないが、普段使いを目的にWineを使う気にはなれない。

金払って買ったWindowsを破棄してまでUbuntuを使う理由はないかも

Windows向けに販売されてるネトゲやエロゲがやりたいならUbuntuを選ぶべきではないけど、ここまでで上げた作業プラスアルファ程度であれば、Ubuntuで十分事足る。標準では使えないものの利用可能なソフトウェアは他にも無数にあり、用途でググれば情報がいくらでも得られる。
Ubuntuは数あるLinuxディストリビューションのひとつに過ぎないが、デスクトップOSとしてのシェアを最も獲得しており、このことは日本語の情報が得やすいというアドバンテージにつながっている。
ただ、例えば僕は\40,000弱で購入したLenovoの15.6型ワイドのノードPCにUbuntuを入れて使っているが、このPCにはWindows 7がバンドルされている。それを一切使わないでいることは、ちょっともったいないとも思うのだ。OSなしで新品のノートPCが当たり前のように購入できれば、UbuntuのようなOSを選んでOS導入コストをカットできるけど、自作や中古ノートでもなければ現実的ではない。金払って買ったWindowsを捨ててまでUbuntuを使う理由を挙げるのはちょっと難しい気がするけど、低スペックPCの再生用OSとしてしかUbuntuが選ばれないとしたら、それも少しもったいないと思えるポテンシャルがUbuntuにはあるのだ。
僕は、パソコンにあまり明るくない子供も大人もお姉さんも、Ubuntuを使っていたら面白いと思う。でも、現実はまだマニアックな選択だ。苦学生は中古ノートを仕入れてUbuntuを使ったらどうだとは思うけど、最近ノートPCの価格低下が著しくて、中古ノートの割高感が半端じゃない。そういう点で積極的にUbuntuを使うのは、コスト削減を命題に掲げる官公庁や公立の小中学校ってことになるんだろうな。