携帯サイトの終焉

いわゆる携帯サイトってやつが、そろそろ古臭い感じがしてきた。
長い間、携帯向けサイトのブラウジングを不自由だけどそれなりに親しんできた。「次に進む」なら「6」か「3」か「#」か。「前に戻る」なら「1」か「4」か「*」。一画面に表示できるデータ容量に制限があるために強いられる不自由だけど、それはそれで心地良さを感じていたと思う。
ところで最近、パソコンと携帯のどちらにも対応したブログを携帯で見ていたとき、画面の下にこう表示されていた。

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全24ページ。普段でだいたい3ページか4ページなので、きっとページング関連の処理にバグがあるんだと思った。ただ、ブログサービス自体が携帯への表示にも対応するというだけで、運営者が携帯からの閲覧を意識していないとも思う。

au・HDMLのおもいで

昔、個人的に携帯向けサイトを作ったことがあった。auを使っていたので基本的にはau携帯対応で、そして当時のauはHTMLではなくHDMLというマークアップ言語を採用していた。WAPという規格は小型携帯端末としては世界的に標準的だったけど、あまり使いやすいものではなかった。よく覚えているのは、HTMLならちょっと構文が間違っていてもたいてい表示してくれるのに、auのHDMLは少しの構文間違いでエラーを出し何も出力してくれなくなること。使いこなすのは大変だったけど、慣れてくると携帯端末向けに特化した構文のよさがわかってきて、HTMLより優れている気がしてきた。iモードが独自のHTMLを採用したのに対して世界標準であるHDMLを使うことに、ある種マイノリティにありがちな優越感を感じていたと思う。

広告の挿入

サイトといっても趣味の域を出るものではなかったから、無料のホスティングサービスを使っていた。なぜか好んで海外のサービスを使うことが多かった。よく困らされたのは広告の挿入。HDMLファイルのなかに広告用のタグやスクリプトのようなものが自動的に挿入される点は今も変わらないけど、そのタグやスクリプトがHDML構文を誤ったものにしたり、一画面に表示可能なデータ容量を超えてしまい表示されなくなることがしばしばあった。HTMLでいうところのBODYの外にスクリプトっぽい文字列を大量挿入されると、それが原因で表示されなくなったとき、何が悪いのかを特定するのが大変だった。

掲示スクリプト

レンタルタイプの掲示板はそのころ既にたくさんあったけど、掲示板のスクリプトを配布している人もたくさんいた。携帯ブラウザ対応で、しかもauにも対応するものは多くはなかったけど、いくつかはあった。Perlが主流だったと思う。
いろいろ探して3キャリア対応の掲示スクリプトを見つけて設置し、ソース見たりいじったりして楽しんでいた。3キャリア対応させるってことは、その端末の環境変数からキャリアを特定し、HTMLあるいはHDMLコードを生成させることになる。機種固有の表示制限があったりする場合は、キャリアだけでなく型番まで特定する必要があったりする。面倒すぎてそのあたりをいじったり模倣してみようとは、とても思わなかった。
こういうのも一種のクロスブラウザに含まれるのかな。そのあたりの経験を経て携帯向けサイトの構築は敬遠するようになった。

着メロ配布

カラー表示と16和音対応の機種が主流の頃、拾ったMIDIを着メロに変換して自分のサイトで配布するというのを始めてみた。無料で落とせる着メロというのが、特にauは多くなかったせいか、けっこうたくさんの人がダウンロードしてくれて、それはうれしかった。着メロに変換しやすいMIDIや変換のコツがだんだんわかってくるのが面白い。
あと、理由はよくわからないけど、当時のauの端末だとサーバに置いたファイルのURLだけではダウンロードできない。auの技術情報関連のページで配布しているdownload.cgiを用いる必要があることと、ファイル末尾に誤り検出用のCRCチェック値を付与する必要があった。もちろんバイナリで。とても面倒だった。今ならいろいろ考えそうだけど、当時は着メロに変換して再生することが楽しかったので、バイナリエディタでひとつひとつチェックサムを付加していた。

従来型携帯サイトの最期

携帯サイトによって進化を遂げたサービスがある。mixiなんかは携帯向けに展開し始めて広がったた裾野はけっこう大きいと思うし、モバゲーなんかもそう。ケータイ小説のようなコンテンツの誕生には、携帯ブラウジングによる制限がかなり寄与していると聞いたことがある。
スマートフォンが従来型のガラケーを駆逐する。なんでもそうかもしれないけど、最初のうちはコアなユーザが多い。でも最近は、iPhoneを使っているけどPCはない、みたいな人を見かけるようになってきた。良くも悪くも裾野が広がるとはそういうことだ。
従来型の携帯サイトでは、画面サイズや一画面あたりに表示できるデータ量が制限されるけど、iPhoneスマートフォンならそういう枠の多くが取り払われる。
だから従来型の携帯サイトは、そんなに遠くない将来に無くなることになると思う。その代わりにモバゲーやケータイ小説的なコンテンツがiPhone向けに登場するだけだとも思う。

「パソコンは立ち上がりが遅い」「交流サイトもケータイで見ている」「パソコンをするよりはテレビを見る方が多い」。市場調査のため、東京・渋谷のプリントシール製造会社「フリュー」のショールームに集まった高校生たちに聞いてみると、こんな答えが返ってきた。メディア接触の中心は携帯電話だ。
東京都立高2、3年の女子6人。5人はメールに返信するため、風呂に携帯を持ち込んでいる。「学校では授業中のケータイは禁止ですが、隠れてメールをしたり、サイトにつなげてブログを見たりしています」
月々の利用料を尋ねると9千円から2万円ほど。使い道はメール派4人、通話中心が2人。6人のうち、ふだんパソコンを使うのはオンラインショッピングをするという1人だけだった。

10代、パソコン離れ…ネットは携帯で 東大教授ら調査 - asahi.com