プラネテス

NHKで放送され、SF関連で表彰されたプラネテスというアニメ作品を観た。
宇宙に憧れた男と女が出会い恋に落ちる。男は現実主義者だった。 宇宙が人に厳しく、生き残るために他人を蹴落とすことを躊躇ってはいけないことを知っていた。女は楽観主義者だった。世の中にある数多の見過ごせない問題は愛が足りないから解決していないと考えている。
男は人類史上初の木星へ進出するプロジェクトへの参加に執念を燃やした。結果として、宇宙に対するシビアな考え方に拍車がかかり、楽観主義的な女と決定的な溝ができてしまう。
人類は宇宙へでるべきではないと考える、地球の後進国出身者で構成されたテロリストたちが起こした事件によって、女は重篤な障害を負った。男は非情さと引換えに実は失われていた仲間たち・師匠・恋人に気づいてしまった。
2クールのアニメ作品で、前半は宇宙開発を生業にする大企業に入社してデブリ屋(周回軌道にあって宇宙開発や宇宙船の運行の師匠になるゴミを片付ける部署)へ配属された少女・タナベの視点から描かれる。後半はデブリ屋の先輩・ハチマキが木星進出プロジェクトの三角のために会社を辞め、際立ってくる非情さとタナベとのすれ違いが主なエピソード。
宇宙は確かに厳しいのだ。タナベはハチマキの元カノであり実はテロリストの一員でもあったクレアを助けたが、その代償として酸欠にかかり、一命をとりとめたものの四肢を不自由にしてしまう。
愛がなければ見えないものがあるし、ハチマキの直情的な性格が二人を結びつけた、ということもある。
宇宙開発・貧困という格差、そういうテーマに陳腐で等身大のメロドラマを組み合わせてみせるこういうアニメはNHK制作ならでは、という感じがするし、富野には作れないだろうなあ、と思う良作のひとつだった。これは大満足。漫画のほうは面白いのかな。