さよならペンギン(大西科学)

「星の舞台からみてる」に続くハヤカワ文庫JAが送るライトノベル作家による作品第2弾。大西科学「さよならペンギン」を読みました。

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)

塾講師の南部観一郎は、今日も好意を寄せる谷一恵の誘いを断り、ペンダンと共に自分たちの同類を捜しに夜の街を彷徨った。ペンギン姿の似合うペンダンは口の減らない奴だが、頼りになる相棒でもある。その日、ふとした隙にペンダンを襲った黒い闇の男こそは、長い間探していた彼らの同類に違いなかった。そう、この世界の観測者(オブザーバー)である南部は、延長体(エクステンション)であるペンダンと共に1500年以上生きる存在だったのだ――。哀愁の量子ペンギンSF。

平行世界や量子論を取り入れたSF作品を読んだ気になれる良作です。ライトノベル的な萌え属性としては、「幼女」であったり「女子中学生」であったり、「死ねない男の苦悩」になるんでしょうか。常に淡々と展開し続ける雰囲気は主人公の心情を反映させているのかもしれませんが、その割にけっこうぐいぐい読ませます。誰も幸せにも不幸にならない結末が中二的でよかった。ライトノベルはこうあってほしいです。
著者の大西科学氏の雑文サイトも面白い。暇つぶしにGood。