愛する人に贈りたい映画「ガイア・ガールズ」

ホッテントリメーカーで生成しただけのタイトルなので、適当です。さて、僕が上京する前に観た映画「ガイア・ガールズ」の話である。

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映画「ガイア・ガールズ」

かつて存在した女子プロレス団体・ガイア・ジャパンに在籍していた竹内彩夏が、きびしい練習生時代を経てデビューするまでを捉えたドキュメンタリーである。

『ガイア・ガールズ』(GAEA GIRLS)は、2000年に公開されたジャノ・ウィリアムズ、キム・ロンジノット監督のドキュメンタリー映画。カラー作品/上映時間100分。
かつて宝塚歌劇団を扱った『ドリーム・ガールズ』や『新宿ボーイズ』など日本が舞台のドキュメンタリー作品を製作してきたジャノ・ウィリアムズ、キム・ロンジノットが監督を務める。
第36回シカゴ国際映画祭優秀ドキュメンタリー賞を受賞、ベルリン国際映画祭山形国際ドキュメンタリー映画祭にも出品された。

ガイア・ガールズ - Wikipedia

ガイア・ジャパンは元クラッシュギャルズ長与千種が主宰していたプロレス団体で、今はもう存在しない。当時、僕は地元の北海道に住んでいたので観戦しようにもなかなか機会がなかったが、TSUTAYAでよくビデオを借りて観たことがある。
ふつうのプロレスと違って、女子プロレスは技術や体力面で劣り、妙な奇声をしばしば上げる。試合内容も劣ることが多く、あまり女子プロレスが好きではなかった(今は割と好きです)。ただ、ビデオで観たガイア・ジャパンはちょっと違っていた。ほかの女子プロレスと比べるとハードヒットな試合をしていることが多いように映ったのだ。それでいて、洗練されていて、展開がスマートにも見えた*1。闘いとエンタメをきっちり表現できていたのだ、ガイア・ジャパンは。だから気になった。

練習生・竹内彩

劇中では、7・8割で道場での練習や生活を映し出している。練習生の竹内は一緒に練習している先輩レスラーたちと比べれば華奢で、まだまだふつうの女の子にしか見えない。それでも既に長い練習生期間を経ていたからか、基礎体力のトレーニングはあっさりこなしている。華奢だといったが、実際は筋骨隆々といっていい体格で、ライオン・プッシュアップをせっせとこなす様はとてもカッコいい。
しかし、試合形式のスパーリングになると、竹内の当たりの弱さや遠慮のようなものが露呈する。それが先輩レスラーを怒らせたり、プロテストで不合格をもらうハメになってしまう。怒った先輩レスラー・里村から顔面にドロップキックをお見舞いされ、唇周りをザックリ切ってしまいシーンがあり、そこはもう壮絶の一言。そこまでやらなきゃプロにはなれないのかと思う*2。そんな厳しい練習を経て竹内は無事にデビューできて映画は終幕。めでたしめでたし。

エンタメの裏に厳しさがある

ガイア・ジャパンのハードヒットでエンタメで、とても面白いプロレスを成り立たせているのは、道場での厳しい練習だ。ガイアに限らず多分どこだってそうだったと思う。でも、フリーランスの選手には道場がないから、どこかの団体の道場に通ったり、何人かで会場を借りて合同練習をすることがあるようだ。でも、きっとそこにはガイア・ガールズで描かれたような厳しさはない。と思う。そして人気選手の多くは、たぶん女子選手やインディでは半分以上がフリーランスだ。

今日の最先端、アイスリボン

最近じゃ何かと話題に事欠かないアイスリボンさくらえみが、iPhoneで撮った練習をTwitCastingでライブ放送しているのでぜひ見てほしい(sakuraemiさんのライブ)。録画ライブのほとんどが観れるようになっている。
当たり前といえば当たり前だが、顔面にドロップキックが突き刺さったり、汗と涙でズブ濡れて膝がガクガクいっちゃうほどの練習は映し出されていない。すべての練習が公開されているわけではないから本当はあるのかもしれないけど、たぶんない。アイスリボンの試合は、良くも悪くものほほんとした、少なくともハードヒットはないプロレスだ。アイスリボンは「プロレスでハッピー」だ。

厳しけりゃいいってわけじゃなくて

ガイア・ジャパンほど厳しい練習がないアイスリボンはつまらないかといえば、下手な男子団体より面白い。プロレスの面白さと練習のハードさは関係ない。もちろんバチバチやハードコアで魅せるなら必要だろうけど、今のところアイスリボンはそういうアプローチをとっていないし、これからもないだろう。
とは言っても、TwitCastingで公開されている練習風景は、やはりリングでの実戦に備えた訓練だから、時折、指導者のさくらえみから厳しい指示や叱咤がある。大怪我を負ったり負わせたりしないための訓練だ。ガイア・ジャパンとは違えと、やるべきことはやっていることがわかるから安心して観戦できる。、
ちなみに、ガイア・ガールズのDVDは発売してすぐに買いました。レンタルビデオ屋には置かれないだろうなーと思ったので。案の定というか、既に販売終了でamazonの中古価格を見る限りではプレミアまでつけられているようだ。

プロレス映画ってカテゴリ

いくつかあるが、多くはない。カテゴリ化するには苦しい数しかないが、傑作は多いと思う。ガイア・ガールズは日本の女子プロレス団体を取り上げたドキュメンタリーということでかなり異色な作品だが、同じドキュメンタリー作品としては「ビヨンド・ザ・マット」がけっこう話題を呼んだ。

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と思ったが、こっちも販売終了してるのかよ。この映画の前にあった「レスリング・オブ・シャドウズ」はブレット・ハートがビンスのブック破りの憂き目に遭う過程を描いたドキュメンタリーということでセンセーショナルな話題を呼んだが、ビヨンド・ザ・マットはプロレスファンであるらしい映画監督がプロレスラーを追っかけたロードムービー的な作品だ。満身創痍の身体に鞭打ちECWのTVショーを成功に導いたテリー・ファンク。ハードコアに身を投じ、家族を泣かせたマンカインド(カクタス・ジャック)。不幸な生い立ちとドラッグ中毒で家族も人生もムチャクチャにしたザ・スネークことジェイク・ロバーツ、etcが登場する。人に勧めるなら断然ビヨンド・ザ・マットだ。

*1:洗練されていないのは、例えばアジャvs堀田のようなグチャグチャのケンカファイトをここでは指しています

*2:何針か縫ったそうです