ロクニシコージ作・こぐまレンサ

こぐまレンサ 完全版 (講談社BOX)
短期間で見かけなくなってしまったけど、妙に印象的だった漫画がいくつかあって、そのひとつが「すべてに射矢ガール」というヤングマガジンの連載作だ。連載終了後に気になってブックオフで探して買い集めたりした。
作者はロクニシコージで、Wikipediaの記事によるとすべてに射矢ガールの後に「こぐまレンサ」を連載し、それ以降は漫画作品を発表していない。
講談社BOXの復刻版を読んでみた。

すべてに射矢ガール

高校を舞台にした煮え切らない男女のラブコメという風だが、女の子の頭部には何故か矢が刺さっている……という設定の話。一時期よく報道されていた矢が刺さったかわいそうなカモから着想を得ていたのだろうか。女の子は頭の矢をコンプレックスにしているため、他者をなかなか受け入れられない。男の子の側もそれを怪訝に感じてしまうことから、お互いに好意を持ちながらもすれ違いを繰り返してしまう。ありていにいえば、ラブコメ

こぐまレンサ

天使か悪魔か、感じたままに・・・・。

やさしい物語、醜い物語、不思議な物語・・・・。
謎の少女“こぐま”は数々の物語に現れます。
あなたの感じたままに、物語を読んでください。
感じたことはあなたそのものです。
この本は、あなたの心の鏡となるのです。

どうぞ感じてください。
そんな物語の数々です。

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%81%90%E3%81%BE%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B5-1-%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%82%B7-%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B8/dp/4063612287

こぐまちゃんという不思議な女の子の周りで起こる、(主に)不幸な出来事を描いた作品。不人気による打ち切りだったのかはわからないけど、全26話というまとまりの良さはなかなかGOOD。

胸にチクっとくる

どっちの作品も他者が抱えるコンプレックスを理解しようと努めながらも、結局傷つけあってしまう人たちを描いている。それでいて強い深刻さを感じさせない程度にコミカルで可愛くてマヌケなキャラクターたちが、かえって痛々しくみえてしまうところが秀逸だと思う。すべてに射矢ガールはフォーカスされるのは二人の男女だけなので、だんだんわかりあえてくる姿を安心しながら読めるんだけど、こぐまレンサは主要なキャラクターを除けば一話に一人ずつ登場する上、とりたて救いがあるわけでもないので、痛々しさに拍車がかかっている。
微妙に絵が下手なところが、そういう読後感を加速させているとも思う。Wikipediaの記事によれば、最近のロクニシコージライトノベルの挿絵を描いたりしているようだ。今、同じような作品を描いたとしても、こぐまレンサのような感想は持たないだろうな。